設立経過
反貧困ネットワーク広島の設立経過
私たち、「反貧困ネットワーク広島」は、貧困問題に取り組む弁護士・司法書士・諸団体個人から構成されています。
現在、日本には様々な貧困問題があります。クレジット・サラ金業者から多額のお金を借り入れて返済できなくなる「多重債務問題」は皆さんも御存知でしょう。また、「派遣労働」「偽装請負」や「サービス残業」は労働者の低賃金・苛酷な労働環境を招いています。母子家庭・父子家庭の平均所得は一般家庭よりも低い傾向がありますし、国の社会福祉が切り詰められる中、「自立支援」の名の下に、障がいを持つ方の生活は更に苦しくなっています。
生活に困窮しても、「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利が憲法で認められているはずですが、生活保護の申請をしようとしても、体よく役所から追い返されている実情があります。貧困に追いやられ、ついには餓死や自死に至る方がこの日本にはいるのです。
賃金をピンハネされることなく健康的に楽しく働くことのできる社会。たとえ病気や怪我で失業しても再就職するまで生活保護制度があるから安心でき、そしてホームレス状態にならずに再起できる社会。収入の少ない家庭でも子供たちを心配させずに大学まで通わせてあげられる社会。障がいを持つ方も様々なことに積極的に社会参加できる社会…。私たちは、こうしたすべての人が安心して暮らせる社会の実現、生活の最低保障の充実を求めていきたいと思います。
多重債務も労働問題も、生活保護も、様々な問題が「貧困」と隣り合わせに存在しています。「貧困」ゆえに人間の尊厳が傷つけられることがあってはなりません。まして、命を落とすことがあってはなりません。
私たちは想いを同じくする団体・個人(=仲間)とつながって、助け合っていかなければなりません。そうすることで、人々を貧困から救う社会的な網の目、「セーフティネット」が充実していくはずです。
2007年10月1日、わが国で始めて貧困問題に取り組む反貧困ネットワークが結成されました。2008年7月、史上初めての「反貧困全国キャラバン2008」が「人間らしい生活と労働の保障を求めてつながろう」を合言葉に全国で展開され、10月19日、明治公園でおこなわれたキャラバン終結集会「反貧困世直しイッキ!大集会」には「貧困を生む社会を変えよう」と2000人が集いました。
この反貧困全国キャラバンの活動を通じて、消費者運動・労働運動・社会保障運動に取り組んできた各団体・個人が、各団体の垣根を越えたネットワークを作って貧困問題の解決を目指そうという機運が高まり、2008年8月3日には「ぎふ反貧困ネットワーク」が、同年8月28日には長野で「生活底上げ実現長野県連絡会」が、同年9月6日には富山で「『生の保障』の再生を求めるネットワーク富山」が、同年10月4日には滋賀で「反貧困ネットワーク滋賀」が、同月19日には大分で「反貧困ネットワーク大分」が、同年11月5日には宮城で「反貧困みやぎネットワーク」が、同年12月1日には、さいたまで「反貧困ネットワーク埼玉」が次々と結成されました。
広島県内でも、反貧困全国キャラバン2008活動として、広島県・広島市をはじめとする県内15の自治体を訪問し、国民健康保険被保険者資格証明書交付の中止などを内容とする「貧困の連鎖を断ち切り、広島県民の生活底上げ実現を求める要望書」の申し入れをおこないました。
また、キャラバン活動に関わった団体・個人からなる「反貧困ネットワーク広島設立準備会」が主催して、12月24日には「明るいクリスマスと正月を!年越し電話相談会~生活保護・労働・多重債務・住まい何でも相談会」をおこない、各専門家の連携プレーにより、正面から、非正規労働者やホームレスの救済に取り組みました。
私達は、「人間らしい生活と誰もが生きやすい社会」をめざし、専門家や貧困問題に取り組む各団体が垣根を越えてつながり、ここに「反貧困ネットワーク広島」の設立を宣言します。